
肉体は確実に疲れているのに、布団に入って一時間以上を横になっていても、全く寝付くことができない。思えばこれでも学生の頃よりはよっぽどマシになっているのだった。当時の俺の寝付きの悪さは深刻なもので、例えば10時頃に床に入ってから八時間以上、朝の登校準備時刻になるまで全く眠れず、止む無くそのまま登校すると今度は授業時間帯にとんでもなく眠くなり、勉学に全く身が入らないという体たらくであった。この兆候は既に小学生時代から存在しているので、もはや体質と言う他ないのだが、つくづくどうしてこの肉体には、些細で軽度なハンディキャップがここまで山積みなのだろうか。チリも積もれば山となるだろうに。まともな社会生活を送れているだけ恵まれていると、自分を慰めている。
もう随分と長い間、就職活動に専念している弟なんてまだマシな方だ。今の高校生、中学生、小学生なんてどうなってしまうんだろう。彼らの行く末が本当に心配だ。願望を言うなら俺が会社でも興して雇ってやりたい所だが、自分にはそんな甲斐性が全く存在しない点が大変悔やまれる。

久し振りにいい女に会ったので、キスをしてみたら、唇に大量のグロスが残るのだった。
ヌメヌメして脂っこく、やや残念な気分になったが、この季節の女性は誰でもそうなのだろうか。
俺にはまったく経験が不足しているから、よく分からない。
人からどう思われるかばかりに執心し、見栄と体面を取り繕うことのみに明け暮れる人がいた。俺はその人を哀れな人間と見下し、態度には出さないながらも軽蔑していたのだが。翻ってみて俺はといえば、外見を取り繕うことはとっくに諦めているし、そして中身はといえば、まるで取るに足らない、詰まらない男なのであった。

まーた家の軒下にスズメバチ連中が巣作ってるしよー

まーたネコは今日も一日俺の部屋で寝てたようだしさー