
ランプの魔人のような奇怪な男がトレードマークのこの店、マスコットキャラが明らかに日本人のセンスではない。威圧感というか、コレだけ見ると一般人はやや引くかもしれないな。店舗内は照明が控えめのため、外から見ると暗く感じるものの、基本的に年中無休なので心配は無用である。ただこの年中無休という点にはやや癖があり、テイクアウト用のケバブならば午前11時から午後8時まで一年中食べられるという意味だ。中でランチやディナーを取るには、やはりそれなりの時間へ赴く必要がある。

会計。テイクアウト用のケバブはここで注文する。残念ながら写真を撮るのは忘れてしまったが、入口脇の小店舗ではイラン舶来の品々が売られており、大変にエスニックな雰囲気を漂わせている。¥150から缶入りのココナッツジュースなど、日本では滅多に味わえないトロピカルフルーツジュースが販売されており、これがまた素晴らしい味わいだった。

水タバコ。タバコは苦手なので俺は敬遠したが、これも注文できるようだ。
チキンドネルケバブ ¥780
サフランライス ¥300

写真では実感が薄いと思われる。まず初見で思案するのはその物量である。細切れになった肉こそがケバブとはいえ、その分量は日本料理においての肉とは5割増し位の違いがあろうか。隣のサフランライスもまた同じく異様な質量があり、果たしてこれ食べきれるか一抹の不安を抱くだろう。要は、基本的に「ご飯とおかず」という構成で提供される和食とは大きく異なり、「サフランライス」、と「ケバブ」、という各々独立した一品料理なのである。若い男性なら大喜びかもしれないが、もう少し控え目な量を想定していた俺たちは、無言のままこれらイラン料理たちと相対する事になった。

サフランライスだが、言われてみれば当然ながら、インディカ米である。家庭で見慣れたジャポニカ米とは、まずその形状からして大きな違いがあり、細長く湾曲した米粒はなかなか可愛らしい。一口咥内に含んでみたとして、その食感、風味ともまるでジャポニカ米の「ご飯」とは全く別物だと感じる筈だ。……やや悪く言うと、ボソボソしている。しかしこれがまた曲者で、頭に疑問符を浮かべながら、暫くチキンドネルケバブをおかずに食べていると、これがまたしっくり来る。

チキンドネルケバブ。レタス、トマト、キュウリといった野菜の上に、チキンケバブが載せられている、見た目はシンプルな料理である。

ソースはこれら三種類。辛さ控えめのマイルドな「オリジナル」、辛さとしては中間の「マスタード」、ピリピリとした、これだけ突出した辛さが特徴の「スパイシー」。俺のお奨めとしては、どれか一つを単調に使い続けるのではなく、ケバブの一端にちびちびと一種類をかけて食べる、その次には別のソースをまた一端に掛けて食べる、というように、ローテーションを組んで三種類全てのソースを楽しんだ方が良い。オリジナルとマスタードは極めて安定して食べ易いソースだが、それだけ単調であり、逆にスパイシーは刺激的だが、これだけを食べていては舌が持たないのだ。

また、無料のセルフサービスとして「イラン紅茶」が提供されている。カップも特徴的だ。隣にある黄金色の容器の中には角砂糖が入っている。

この「イラン紅茶」だが、なかなか侮れない品だ。市販の紅茶によくある苦みや渋みのない、とても爽やかですっきりした、口当たりの良い清涼な風味には驚かされた。食中に二〜三杯は楽にいける。寒い冬にはとても身体の温まる、粋なサービスである。

ここ土浦市西根西にあるアリーズ・ケバブは本店らしい。初老の気さくな男性がウェイターを勤める、最初に見た時はやや戸惑うかもしれないが、極めて優良なレストランである。テイクアウトのケバブも、肉はまぁ当然として、野菜のとても美味しい素敵なファストフードだった、次回に来た際にはこれの記事を書いてみたい。Sサイズ400円、Mサイズ500円、Lサイズ600円という、やや高級感のあるサンドイッチだが、それだけの価値は十分あるように思うのだ。

イラン料理レストラン アリーズ・ケバブ本店
茨城県土浦市西根西1-2-20
TEL:029-843-8033
営業時間:ランチ 午前11時〜午後3時 ディナー 午後6時〜午後8時
テイクアウトのみ年中無休
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